Solanaステーキングの利回り・APY解説
Solanaのステーキングは、プロトコルインフレから年率およそ5.1%、MEVを上乗せすると5.3%を支払います。報酬はエポックごと(およそ2日)に入り、手を動かさずに再ステークされます。
利回りの中身
Solanaのバリデータには3つの収入源が通っており、ステーキングの解説はその3つをまとめて「あなたの利回りの源泉」として並べがちです。委任した人に届くのは、そのうち2つだけです。1025番のエポックでは、バリデータ695件が委任者に69,471 SOLを支払い、その内訳はこうなりました。
| 源泉 | SOL(1025番エポック) | 支払額に占める割合 |
|---|---|---|
| プロトコルインフレ | 67,915 | 97.8% |
| MEVチップ | 1,542 | 2.2% |
| トランザクション手数料 | 14 | 0.02% |
手数料は、届かない流れです。ユーザーは署名ごとに5,000ラムポート(0.000005 SOL)の基本手数料を払い、順番を早めたければ自分で決めた優先手数料を上乗せします。基本手数料の50%は焼却され、残りはブロックを生成したバリデータへ。優先手数料は全額そのバリデータのものです。優先手数料コミッションを100%未満に設定して一部を委任者に渡すこともでき、前エポックにそうしたのはバリデータ695件のうち3件でした。手数料収入はバリデータ側の経済であって、あなたの利回りではありません。これを多く稼ぐノードが、そのぶん多く払ってくれるわけではないのです。
MEVは平均すれば小さく、分配は偏っています。サーチャーはオフチェーンのオークションで取引順序を競り、ブロックを生成した相手にチップを払います。前エポックでチップを得たのは、ステークの94.7%を占めるバリデータでした。そのうちいくらが手元に来るかを決めるのは、インフレのコミッションとは独立した2つ目のコミッションです。ステークの32.0%を占めるバリデータ342件はMEVから一切取らず、27.3%を占める72件は1ラムポートも渡しません。ステーク加重の中央値では、MEVに8.0%、インフレに5.0%です。両方を見て絞り込むのがバリデータ選びのチェックリストの役目です。
チップの着地点のほうは、はっきりしています。エポックが閉じると、Jitoのtip routerプログラムが各委任者のステークアカウントへ直接書き込みます。あなたが署名も手数料負担もしないトランザクションです。つまりMEVもインフレとまったく同じく次のエポックから複利で回り、請求も再委任も要りません。
なぜインフレ率より高くなるのか
スケジュールが発行するのは、年に総供給の3.67%です。ステーカーがそれ以上を受け取る理由は気前のよさではなく算術です。新しいSOLはステークされたSOLだけで分け合われ、それは供給の69.0%にあたります。一方をもう一方で割ると、他の要素が働く前の段階で年5.3%になります。
見出しの数字までの残りを埋めるのが複利です。各エポックの報酬はステークアカウントに入り、次のエポックでまた稼ぎます。これがAPR(単純年率)とAPYの違いのすべてです。Solanaは自動で再ステークするので、計画に使うべき数字はAPYです。
この割り算は同時に、あなたのレートで唯一どうにもできない部分でもあります。ステークされるSOLが増えれば、同じ発行量がより多くの取り分に分かれ、どのバリデータを選んだかにかかわらず、ステークを持つ全員のレートが下がっていきます。
報酬が届くタイミングと、それを削るもの
報酬は連続的にではなく、エポックごとに一度、およそ2日おきに入ります。配分はバリデータ間で一律ではありません。インフレはまずステーク量に応じて割り当てられ、次に投票パフォーマンスで調整されます。バリデータは正しく、遅れずに投票することで投票クレジットを得るので、稼働率が高く投票遅延の小さいノードはステーク加重の取り分をほぼ満額回収し、遅いノードや停止中のノードは稼ぎが減り、渡せる額もそのぶん減ります。コミッションが引かれるのはその後で、残りが委任者のステークアカウントに直接入ります。
こうして取り逃した分は、他のバリデータに回されるわけではありません。そもそも発行されないのです。1025番のエポックが発行したのは93,578 SOL、スケジュールが求めた量の92.7%でした。インフレ率はネットワークが近づいていく上限であって、支払われる金額ではありません。その差が、バリデータ695件ぶんの取り逃した投票の代償です。
バリデータの視点から。順序が肝心です。パフォーマンス調整はコミッションより先に効くので、安いが不安定なノードは、高くても堅実なノードより手取りが少なくなり得ます。理論上の利回りがそもそもどれだけ生まれるかを決めるのは、稼働率とスキップ率です。
インフレスケジュール
発行量は固定ではなく、その3つのパラメータは誰かのブログではなくチェーンから読めます。年率8%で始まり、毎年15%ずつ下がり(ディスインフレーション率)、最終レート1.5%に落ち着きます。この発行から財団に回る分はゼロで、すべてバリデータとその委任者に渡ります。この着実な低下こそ、去年見た利回りの数字が今日は下がっている理由です。
このカーブ自体も議論の的です。SIMD-0228は市場ベースの発行への置き換えを提案し、暗号資産史上最大規模のガバナンス投票にかけられ、2025年3月に3分の2の閾値に届かず否決されました。そして問いは戻ってきました。SIMD-0550はディスインフレーション率を倍にし、年−15%を−30%にする提案で、提案自身の試算では6年間で発行量がおよそ1,890万SOL少なくなります。併せて出たSIMD-0553の草案は、取引手数料を焼却されるリソース要素を軸に組み直すものです。どちらも決着していません。2026年8月6日時点で、前者はレビュー中、後者はまだ草案です。
ディスインフレーション率の倍化がもたらすもの
提案は発行量の単位で書かれていて、あなたが受け取るのは利回りです。だから換算する値打ちがあります。下の2列はどちらもステーク比率を今日の69.0%に固定し、インフレ部分のみを扱います。MEVはその上に乗るもので、この提案は触れません。活性化は遡って何かを変えることはなく、段差も生みません。カーブが張り直されるため、活性化の瞬間のレートはどちらでも同じで、違うのはその後の傾きだけです。
| 活性化からの年数 | 現行スケジュール | SIMD-0550の場合 | 差 |
|---|---|---|---|
| 活性化時 | 5.3% | 5.3% | — |
| 1年後 | 4.5% | 3.7% | 0.8ポイント |
| 2年後 | 3.8% | 2.6% | 1.2ポイント |
| 3年後 | 3.3% | 2.2% | 1.1ポイント |
| 5年後 | 2.4% | 2.2% | 0.2ポイント |
| 6年後 | 2.2% | 2.2% | — |
持ち帰るべきは最終行です。どちらのスケジュールも同じ場所に着きます — インフレ由来でおよそ2.2%、そこにMEV — 1.5%の下限が変わらないからです。SIMD-0550はSolanaステーキングの到達点を下げるのではなく、今日のレートから数えて3.0年早くそこへ着かせます。保有者が手放すのは移行期で、差は2年目に最大となり、6年目までに閉じます。1,000 SOLを持ち続けた場合、2つの道筋の差はおよそ48 SOLです。
委任先をまだ選んでいるなら、一次の効果より二次の効果のほうが効いてきます。MEVはインフレスケジュールに合わせて縮まないので、インフレが下限へ歩いていくあいだ、同じチップが手元に届く額のより大きな部分を占めるようになります。今日は委任者への支払いの2.2%、チップの流入量が今のままなら下限では5.3%ほどです。バリデータのMEVコミッションはどちらのスケジュールでも年々重みを増し、この提案の下ではそれが早く来るだけです。
報酬をシミュレーション
名目レートは5.3%ですが、口座に着くのはその数字ではありません。各エポックの報酬が自動で再ステークされるため、複利によって実際に受け取る数字は5.44%まで上がります。インフレ手数料を取らないバリデータなら、こうなります。
| ステーク | 1年後の報酬 | 5年後 |
|---|---|---|
| 100 SOL | 5.44 SOL | 30.34 SOL |
| 1,000 SOL | 54.42 SOL | 303.38 SOL |
| 10,000 SOL | 544.21 SOL | 3,033.78 SOL |
この数字に届くのに、請求も再委任も要りません。下で自分のステーク額・コミッション・期間を入れてみてください。
コミッションと手取り
コミッションは、報酬があなたに届く前に差し引かれます。1エポックあたりの差は小さく見えますが、報酬が複利で回り出す前に引かれるところが効きます。1,000 SOLのポジションで、何も取らないバリデータと7%取るバリデータを比べます。
| インフレ手数料 | 実効APY | 報酬・1年 | 報酬・5年 |
|---|---|---|---|
| 0% | 5.44% | 54.42 SOL | 303.38 SOL |
| 7% | 5.05% | 50.52 SOL | 279.43 SOL |
このポジションでは、手数料は1年でおよそ3.9 SOL、5年でおよそ23.9 SOLになります。ステークが大きく期間が長いほど差は開きます。そして同じ計算は上のMEVコミッションにも当てはまります。母数は小さいものの、これから育つ母数です。
Stake.Cakeはインフレ0%、MEV0%です。どちらの流れもそのままステークアカウントに届き、そこで複利になります。
報酬を働かせましょう
どちらの流れからも取らないバリデータでSOLをステークし、両方を複利で回しましょう。