Solanaのネイティブ vs リキッドステーキング:ガラスの金庫に収まったSOLのコインと、取引できるリキッドステーキングトークン

Solanaのネイティブ vs リキッドステーキング

ネイティブステーキングでは、SOLは自分のウォレットが管理するステークアカウントに置かれます。リキッドステーキングでは、SOLをLSTと呼ばれるトークンに替え、報酬を得ながらそのトークンを売買したりDeFiで使ったりできます。どちらもバリデータに委任し、同じ基本報酬を得ます。両者を分けるのは、その報酬からプールが取る分(下の表のプールでは4〜7%)と、抜けるときにかかるコストです。

ネイティブステーキングとは

ネイティブステーキングとは、自分のウォレットからバリデータへSOLを直接委任する方式です。SOLは自分だけが管理するステークアカウントに置かれ、報酬は各エポックの終わりに自動で入って複利で増えていきます。あなたとステークプログラムの間に、プールは入りません。SOLを戻すには、ステークを解除して今のエポックの残りを待ちます。待ち時間は平均13時間、長くても26時間です。初めての方はSolanaステーキングのやり方からどうぞ。

リキッドステーキングとは:LSTの仕組み

リキッドステーキングでは、SOLをステークプール経由でステークします。代わりに受け取るのがリキッドステーキングトークン(LST)で、プールの持ち分を表す標準的なSPLトークンです。LSTは報酬を直接支払いません。プールが稼ぐにつれて、SOLに対する交換レートがエポックごとに少しずつ上がります。利回りは、時間とともにトークン1枚がより多くのSOLに相当するようになる形で現れます。

LSTは普通のトークンなので、そのまま持っておくことも、すぐにSOLへスワップすることも、報酬を得ながらSolanaのDeFiで担保や流動性として使うこともできます。それでもリキッドステーキングは少数派で、しかも縮んでいます。ステーク済みSOL全体に占める割合は12.3%で、2026年1月のピーク15.7%から下がっており、その後の8か月はどの月も前の月を下回っています。

始めるためにステークを売る必要はありません。ステークプールのプログラムは既存のステークアカウントをそのまま受け取り、それと引き換えにプールトークンを発行します。そのためネイティブのポジションは、解除も待ち時間もなくLSTに変えられます。ただし、プールがすでにステークしているバリデータに委任されていることが条件です。逆方向の命令ではSOLではなくステークアカウントが戻り、そこから先は通常のネイティブと同じ時間割になります。

ネイティブ vs リキッド:一覧比較

 ネイティブステーキングリキッドステーキング(LST)
資産の管理自分のステークアカウント、ノンカストディアルステークはプールのコントラクトが持ち、手元にはトークン
流動性解除が完了するまでロックDeFiの市場ですぐに取引できる
退出の速さエポックの残り(最長26時間)DEXでのスワップかプールのリザーブからなら数秒、それ以外はエポックの残り
退出のコスト待てばかからない。すぐ抜けるならステークアカウントの売却に手数料プールの出金手数料、またはスワップ時の市場でのディスカウント
DeFiでの利用不可可(レンディングの担保、LP、ルーピング)
報酬ステークアカウントで自動的に複利トークンの価値の上昇として積み上がる
バリデータの選択自分で選ぶプールが決める(一部は指定できる)
税務(一般的な扱い)エポックごとの報酬が所得として課税されることが多い売却や償還まで繰り延べられることが多い
追加のリスクバリデータの性能のみバリデータ+スマートコントラクト+退出時のディスカウントの可能性

主要なSolanaのLST

リキッドを選ぶなら、どのトークンを持つかが重要です。主要なLSTは、誰が発行しているか、どれだけ大きく、そのためどれだけ取引しやすいか、そして裏側のバリデータ選びに自分が関われるかどうかで違います。

LST発行元保有SOLほかとの違い
JitoSOL Jito 10.47M ステークの割り当てはJitoのStewardプログラムが行い、サイクルごとにバリデータを採点している
bnSOL Binance 10.34M 取引所が発行。裏付けのSOLを持っているのはチェーン上のプールではなくBinance
jupSOL Jupiter 5.21M Jupiterのアプリに組み込まれている
mSOL Marinade 2.28M 2021年に始まったSolanaで最初のLST。SPLのプールではなくMarinade独自のプログラムで動く
INF Sanctum 1.75M 単一のプールではなく、ほかのLSTにまたがるインデックス
pSOL Phantom 1.61M Phantomウォレット独自のトークンで、ウォレット内からステークできる

7日平均。リキッドステーキングのダッシュボードと同じ日次データから取っていて、並び順も固定ではなく、そのデータで決まります。

取引所が発行するトークンは、このページでいうリキッドステーキングではありません。裏付けのSOLは取引所に対する請求権なので、自分でステークすれば資産を自分で管理できるという利点は、この形では残りません。チェーン上のプールが裏付けるトークンの中で最大なのはJitoSOLです。DeFiの担保として広く受け入れられるか、安く手放せるかを決めるのは規模です。小さめのプールのうちJPoolとThe Vaultは、別の理由で知っておく価値があります。LSTの裏側のバリデータを自分で選べるからで、Stake.Cakeも選べます。

利回り:実際にいくら稼ぐか

基本報酬はどちらのルートでも同じです。どちらも最終的にはバリデータへ委任するからです。Solanaのインフレは、ステーク済みSOLにコミッション控除前で年およそ4.8%(APY)を支払い、エポックごとにステーク量に比例して配分します。そこにMEVが加わると、次のような違いが出ます。

  • ネイティブステーキングでは、インフレ報酬に加えて、バリデータが還元するMEVを受け取ります。どれだけ還元するかは運営者が決めるので、ゼロから全額まで幅があります。
  • 主要なLSTはどれもMEVを取り込んでいます。mSOLも同じです。どのプールもJitoのチップオークションに参加するバリデータに委任していて、チップは毎エポック、プールのステークアカウントを通じてトークンに届きます。
  • 実際に違うのは、報酬がトークンに届く前に差し引かれるプール自身の手数料と、プールがどのバリデータに委任しているかです。

仕組みは以上です。直近の完了したエポックでは、結果はこうなりました。

エポック1061時点の複利APY。対象はバリデータ669件。
ルート バリデータの稼ぎ プール手数料 手元に残る
ネイティブ:中央値のバリデータ 基準 4.84% — 4.84%
Stake.Cake 当バリデータ 5.17% — 5.17%
JitoSOL Jito 4.78% 4.0% 4.59%
vSOL The Vault 4.73% 5.0% 4.49%
bSOL BlazeStake 4.71% 5.0% 4.47%
JSOL JPool 4.65% 7.0% 4.32%
jagSOL JagPool 4.54% 5.0% 4.31%
JupSOL Jupiter 4.49% 5.0% 4.27%
mSOL Marinade 4.96% — —

「バリデータの稼ぎ」は、各プールのバリデータが実際に生んだ利回りです。プール手数料はそのプールが報酬から取る割合で、チェーン上のステークプール口座からその場で読んでいます。「手元に残る」はトークン保有者に残る分です。ネイティブの行にはプールの層がないので、2つの列は一致します。バリデータ自身のコミッションは、稼ぎの数字にすでに反映されています。ダッシュは、プール自身の口座から手数料を読めなかったため、純額を示していないという意味です。MarinadeのプールはSPLステークプールではないので常にこの扱いになり、行には総額だけを表示しています。

各ルートの差は、表に出るAPYから受ける印象より小さいものです。上のプールはどれも同じ種類のバリデータに委任しているので、そのバリデータが稼いだ利回りの幅はわずか0.47ポイントです。最後の列に差をつけているのはプール自身の手数料で、報酬の4.0%から7.0%まで開きがあります。リキッドのルートの中で最良と最悪の差は0.32ポイント、1,000 SOLのポジションなら年3.2 SOLです。

どこで引用されていても、気にしなくてよい数字がひとつあります。ネットワーク全体の平均です。全ステークを通した平均は3.67%、中央値のバリデータは4.84%で、この平均を受け取る委任者は一人もいません。コミッション100%のバリデータが63件あり、ステーク済みSOL全体の23.8%を持っています。自分のSOLをステークしている取引所や運営者で、ほかに支払う相手がいないので報酬を自分で受け取っています。このステークはどのネットワーク平均にも含まれますが、誰の財布にも入りません。ルートを比べる基準は中央値です。行動する価値のある差は上の表にあり、それはネイティブとリキッドの差より大きいのです。

これは各ルートが過去のエポックで生んだ数字で、次のエポックの約束ではありません。利回りのうちどれだけがあなたに届くかはバリデータのコミッションと安定性で決まり、どちらも委任した後に変わることがあります。ステーキング計算機を使えば、利率を自分のポジションのSOLに換算できます。

早めに抜けるときのコスト

ネイティブステーキング本来の出口は、ステークを解除してエポックの終わりを待ち、引き出すことで、手数料はかかりません。ステークアカウントは、Sanctumやウォレットの即時アンステークを使ってその場で売ることもできますが、こちらは有料です。両者の比較はSolanaのステーキング解除の方法で解説しています。

LSTの出口は二つあり、どちらにもコストがかかります。プールで償還すると、トークンのチェーン上の価値から出金手数料を引いたSOLが戻ります。JitoのプールはほかのSPLプールと同じく、リザーブ(プールがステークせずに置いているSOL)に十分な残高があればその場で支払い、足りなければステークアカウントを返します。そのアカウントは、ネイティブと同じように解除します。Marinadeが支払うのは、エポックが終わった後です。DEXでスワップすると数秒で決済されますが、価格は市場価格で、チェーン上の価値を下回ることがあります。

いま取得した気配値を、各トークンのチェーン上の償還価値と比べたもの。
トークン プールで償還 100 SOL分をスワップ 10,000 SOL分をスワップ
JitoSOL 0.10% 0.09% 利回り6.6日分 0.10% 利回り7.3日分
mSOL 0.20% 0.07% 利回り5.1日分 0.15% 利回り11.0日分

償還にかかるプール自身の手数料と、そのサイズのスワップがいまトークンのチェーン上の価値をどれだけ下回って約定するかを示しています。スワップの数字は、ネットワーク利回りの何日分に当たるかも併記しました。価値と手数料は各プールのチェーン上の口座から、気配値はJupiterから取得しています。

今の市場の厚みでは、100 SOL分のスワップはどちらのトークンでもプール自身の出金手数料より安く、このサイズなら即時の出口のほうが安上がりです。ディスカウントはポジションが大きいほど広がり、そのトークンの市場が厚いほど縮みます。SanctumのようなアグリゲーターではLSTをほかのLSTへ直接交換することもでき、出口のコストを2回払わずに済みます。

LSTのDeFi活用

LSTの追加リスクを受け入れる理由は資本効率です。同じSOLがステーキング報酬を稼ぎながら、別の場所でも働き続けます。代表的な使い方は次のとおりです。

  • 借入の担保:Kamino、MarginFi、Saveなどのレンディング市場で、ステークを解除せずにステーク済みSOLを担保に借り入れできます。
  • 流動性の提供:LST/SOLのプールに預けて、ステーキング報酬に加えて取引手数料を得ます。
  • ルーピング(借りて、再びステークして、繰り返す):利回りを増やしますが、リスクも同じように増えます。上級者向けで、最初に取る手ではありません。
ステーキング報酬を得続けながら、SolanaのリキッドステーキングトークンをDeFiの担保・流動性・借入ポジションとして使う様子
1つのリキッドステーキングトークンが、ステークされたままDeFiでも同時に働けます。

ネイティブのステークでは、これはどれもできません。SOLをただ置いて複利で増やすだけなら、そのシンプルさは制約ではなく長所です。

税金について

2つのルートは、課税の扱いが異なることがあります。ネイティブの報酬はエポックごとに新しいSOLとして届き、多くの国や地域ではこれを受け取った時点の所得として扱います。日本でも一般に、取得時点の時価で雑所得になるとされています。多くのLSTは新しいトークンではなく交換レートの上昇で価値が増えるため、値上がりする資産と同じように、売却や償還まで所得の認識を繰り延べられる可能性があります。これは実際にある違いですが、税務アドバイスではありません。ルールは国によって異なり、変わることもあるので、ご自身の状況は税理士などの専門家に確認してください。

理解しておきたいリスク

  • スマートコントラクトのリスク(リキッドのみ)。LSTはプールのプログラムに依存します。チェーン上のプールの多くは、広く使われ監査も受けたSPLステークプールプログラムで動いていて、Marinadeは独自のプログラムを使っています。引き出しはウェブサイトの機能ではなくそのプログラムの命令なので、画面が消えたプールでも、トランザクションを送れるものなら何からでも償還できます。
  • 退出時のディスカウント(リキッドのみ)。LSTのチェーン上の価値はエポックごとに上がりますが、市場価格はその下にとどまることがあります。上の表が測っているのはこの差で、多くの保有者が一度に抜けようとすると広がります。プールで償還すれば、プールの手数料と引き換えにディスカウントを避けられます。そのため深いディスカウントが痛手になるのは、すぐに売らなければならないときだけです。パニックのさなかや、トークンを担保に入れていて、ディスカウントが清算を引き起こすときです。
  • レバレッジのリスク(リキッドのみ)。ルーピングやレンディングは層を重ねます。プロトコルがひとつ増えるたびに、壊れうる場所もひとつ増えます。最初のポジションはシンプルにしておきましょう。
  • バリデータの性能(両方)。ダウンタイムがあるバリデータやスキップ率の高いバリデータは、分け合える報酬が少なくなります。だからこそ、どちらの方式でも良いバリデータを選ぶことが大切です。
  • スラッシング。Solanaは現在、通常のダウンタイムでステークをスラッシュ(没収)しません。実際に起こりうる不利益は、元本の喪失ではなく報酬の減少です。

どちらを選ぶべきか

ネイティブを選ぶのは、SOLを中長期で持ち、いちばんシンプルなノンカストディアルの形を望み、プール手数料も出口でのコストもない自動の複利を重視する場合です。

リキッドを選ぶのは、ステークしたSOLをDeFiの担保や流動性として働かせ続けたい場合や、エポックを待たずに数秒で抜ける必要が出るかもしれない場合です。どのトークンにするかは、それを何に使うか、そして一度にどれだけ売る可能性があるかで決まります。

両方を使うこともできます。よくある分け方は、長く持つ中心部分をネイティブにし、DeFi用に小さめのリキッドのポジションを持つ形です。どちらのルートでもStake.Cakeに委任できます。ネイティブなら直接、リキッドならJPoolかThe Vault経由です。

自分に合う方法でステーキング

ネイティブで委任してすべてを自分で管理するか、Stake.Cakeに委任するリキッドステーキングのプールを選んで、報酬を得ながらSOLの流動性を保つか。