Solanaのネイティブ vs リキッドステーキング:ガラス金庫に収まったSOLと、取引可能なリキッドステーキングトークン

Solanaのネイティブ vs リキッドステーキング

ネイティブステーキングは、自分だけが管理するステークアカウントにSOLをロックする方式。リキッドステーキングは、DeFi全般で使える取引可能なトークン(LST)を受け取る方式です。どちらも同じバリデータに委任し、同じ報酬を稼ぎます。分かれ目は測れるものであり、その2つの数字はこのページにあります — プールが取る手数料と、エポックを待たず数秒で抜けることの代金です。

ネイティブステーキングとは

ネイティブステーキングとは、自分のウォレットからバリデータへSOLを直接委任する方式です。SOLは自分だけが管理するステークアカウントに置かれ、報酬は各エポックの終わりに自動で入金・複利運用され、あなたとプロトコルの間にスマートコントラクトは介在しません。唯一の制約は、SOLを戻すにはステークを解除し、現在のエポックの残りを待つ必要があること — 平均19時間、最長でも38時間です。初めての方はSolanaステーキングのやり方からどうぞ。

リキッドステーキングとLST

リキッドステーキングでは、SOLをステークプール経由で運用します。代わりに受け取るのがリキッドステーキングトークン(LST) — プールの持ち分を表す標準的なSPLトークンです。LSTは報酬を直接支払いません。プールが稼ぐにつれてSOLに対する交換レートがエポックごとに上昇し、「トークンがより多くのSOLと交換できるようになる」形で利回りが現れます。

LSTは普通のトークンなので、保有するのも、即座にSOLへ交換するのも、担保や流動性としてSolanaのDeFiで稼働させるのも自由 — その間もステーキング報酬は積み上がり続けます。依然として少数派であり、しかも縮んでいる少数派です。ステーク済みSOL全体のうちLSTが占めるのは12.0%。ピークは2026年1月の15.7%で、その後は7か月連続で毎月下がっています。

入るためにステークを売る必要はありません。ステークプールのプログラムは既存のステークアカウントをそのまま受け取り、対価としてプールトークンを発行します。つまりネイティブのポジションは、解除もクールダウンもなしにLSTへ変わります — ただしプールがすでにステークしているバリデータへ委任されている場合に限ります。逆方向の命令はSOLではなくステークアカウントを返し、そこからは通常のネイティブの時間割に従います。

ネイティブ vs リキッド:一覧比較

 ネイティブリキッド(LST)
保管自分のステークアカウント、ノンカストディアルステークはプールのコントラクト、手元にはトークン
流動性解除が完了するまでロックDeFi市場で即座に取引可能
退出速度エポックの残り(最長38時間)DEX交換なら数秒、満額償還なら1エポック
DeFiでの利用不可可(レンディング担保、LP、ルーピング)
報酬ステークアカウントで自動複利トークンの価値上昇として蓄積
バリデータ選択自分で選ぶプールが決定(一部は指定可)
税務(一般論)エポックごとの報酬は所得扱いが多い売却・償還まで繰り延べられることが多い
追加リスクバリデータの性能のみバリデータ+スマートコントラクト+退出時のディスカウント

主要なSolanaのLST

リキッドを選ぶなら、どのトークンを持つかが効いてきます。主要なLSTは、誰が発行しているか、どれだけ大きく(つまりどれだけ売りやすく)、裏側のバリデータに口を出せるかで分かれます。

LST発行元保有SOL際立つ点
bnSOL Binance 1,028万 取引所が発行。裏付けのSOLはチェーン上のプールではなくBinanceが保有
JitoSOL Jito 1,005万 チェーン上のプールの中で、DeFiと取引所の対応が最も広い
jupSOL Jupiter 518万 Jupiterアプリに組み込み
dSOL Drift 281万 Driftプロトコル発。同プロトコルで担保としても使える
mSOL Marinade 236万 2021年からの最初のLST。バリデータ集合が最大
INF Sanctum 176万 単一プールではなく、他のLSTに広く分散するインデックス

7日平均。リキッドステーキングのダッシュボードと同じ日次データからで、並び順は固定ではなくそのデータから読んでいます。

取引所が発行するトークンは、このページが使う意味でのリキッドステーキングではありません。裏付けのSOLは取引所への請求権であり、自分でステークする理由だった「保管」の論拠がラッパーを生き延びないからです。チェーン上のプールが裏付けるトークンの中で最大はJitoSOLで、DeFi担保として広く受け入れられるかどうかも、退出が安いかどうかも、結局は規模で決まります。小さめのプール(JPool・The Vault・JagPool)は別の理由で重要です — そこではLSTの裏側のバリデータを自分で選べます。Stake.Cakeも選べます。

利回り:実際に何を稼ぐか

ベースの報酬は両ルートで同一です。どちらも最終的にはバリデータへ委任するからです。Solanaのインフレはステーク済みSOLに対しコミッション前でおよそ5.1% APYを支払い、エポックごとにステーク量に比例して配分します。その上にMEVが乗ります:

  • ネイティブはインフレに加えて、バリデータが還元するMEVを受け取ります。どれだけ還元するかは運用者の裁量で、ゼロから全部まで幅があります。
  • 主要なLSTはすべてMEVを取り込みます(mSOLを含む)。Jitoのチップオークションに参加するバリデータへ委任し、チップを毎エポック、トークンへ再ステークしています。LSTを「MEVあり/なし」で分類する比較は、過去のSolanaを説明しています。
  • 実際に違うのは、報酬がトークンへ届く前に差し引かれるプール自身の手数料と、プールがどのバリデータへ委任するかです。

仕組みは以上です。直近の完了エポックでは、こうなりました:

複利APY、エポック1026時点、バリデータ687件を対象。
ルート バリデータの稼ぎ プール手数料 手元に残る
ネイティブ — 中央値のバリデータ 基準 5.06% 5.06%
Stake.Cake 当社バリデータ 5.28% 5.28%
JitoSOL Jito 4.98% 4.0% 4.78%
vSOL The Vault 4.94% 5.0% 4.69%
bSOL BlazeStake 4.85% 5.0% 4.61%
jagSOL JagPool 4.78% 5.0% 4.54%
JupSOL Jupiter 4.76% 5.0% 4.52%
JSOL JPool 4.83% 7.0% 4.49%
mSOL Marinade 5.22%

「バリデータの稼ぎ」は、各プールのバリデータが実際に生んだ利回りです。プール手数料は、そのプールが報酬から取る取り分で、チェーン上のステークプール口座から直接読んでいます。「手元に残る」はトークン保有者に残る分。ネイティブの行にはプール層がないため2列は一致し、バリデータ自身のコミッションはすでに稼ぎに反映済みです。ダッシュは、プールの口座から手数料を読めなかったため純額を主張しないという意味です — MarinadeのプールはSPLステークプールではないので常にそこに入り、行はグロスのみを示します。利回りデータはTrilliumより。

各ルートは、見出しのAPYが示すよりも互いに近い位置にあります。上表のプールはどれも同じ種類のバリデータへ委任しているため、そのバリデータたちが稼いだ幅はわずか0.46ポイントです。最後の列を分けているのはプール自身の手数料で、報酬の4.0%から7.0%まで開きます。リキッドの中で最良と最悪の差は0.29ポイント、1,000 SOLのポジションなら年間2.9 SOLです。

どこで引用されていても無視してよい数字がひとつあります。ネットワーク全体の平均です。全ステークでは3.85%、中央値のバリデータは5.06% — そしてこの平均を受け取るデリゲータはいません。バリデータ62件がコミッション100%を取り、ステーク済みSOL全体の24.0%を保有しています。自己資金のSOLをステークする取引所や運用者で、支払う相手がいないため報酬をすべて手元に残します。そのステークはあらゆるネットワーク平均の中にあり、誰の財布の中にもありません。比較の基準は中央値であり、行動の指針になるのは上表の幅 — しかもそれはネイティブとリキッドの差より大きいのです。

注意点をひとつ。これは各ルートが過去のエポックで実際に生んだ数字であって、次のエポックの約束ではありません。理論上の利回りのうちどれだけが手元へ届くかはバリデータのコミッションと安定性が決め、そのどちらも委任後に変わり得ます。自分の数字でモデル化するならバリデータ収益計算機(英語)をどうぞ。

バリデータの視点から。どちらのルートも最終的には私たちのようなノードへの委任です。ラッパーが変えるのは流動性と税務上の扱いであって、裏側の仕事ではありません。アップタイム、スキップ率、コミッションはネイティブでもリキッドでも全ステーカーに同じように効きます。

早く抜けると何がかかるか

両者の最も実務的な違いがここです。ネイティブの出口はひとつだけ:解除し、エポックの残りを待ち、引き出す。手数料もペナルティもありません。手順はSolanaステーキングの解除方法をご覧ください。

LSTの出口はふたつあり、かかるものが違います。プールでの償還は、次のエポック境界の後に満額でネイティブSOLを返します — 待ち時間はネイティブと同じ、スプレッドはゼロ。DEXでSOLへ交換は数秒で終わり、そこで手放すのは、市場価格とプールが償還したはずの価値との差です。

いま取得した気配値を、各トークンのチェーン上の償還価値と比べたもの。
SOLへ交換 100 SOL 10,000 SOL
JitoSOL 0.05% 利回り3.5日分 0.07% 利回り4.8日分
mSOL 0.18% 利回り12.5日分 0.53% 利回り36.7日分

そのサイズの交換が、いま償還価値からどれだけ下に着地するか。同じ数字をネットワーク利回りの日数に直したものを併記しています — 代わりの選択肢が最長38時間待って満額で償還することだからです。償還レートは各プールのチェーン上の口座から、気配値はJupiterから。

つまり即時退出は元本の毀損ではなく、急ぐことへの手数料です。ポジションが大きいほど増え、そのトークンの市場が厚いほど減ります。Sanctumのようなアグリゲーターを使えばLSTからLSTへ直接交換でき、この代金を2回ではなく1回で済ませられます。

LSTのDeFi活用

LSTの追加リスクを受け入れる理由は資本効率です。同じSOLがステーキング利回りを稼ぎながら、別の場所でも働き続けます。代表的な使い方:

  • 借入の担保:Kamino、MarginFi、Drift、Saveなどのレンディング市場で、ステークを解除せずにステーク済みSOLを担保に借入できます。
  • 流動性提供:LST/SOLプールに預けて、ステーキング利回りに加えて取引手数料を獲得。
  • ルーピング(借りて、再ステークして、繰り返す):利回りを増幅しますが、リスクも同時に増幅します。上級者向けであり、最初の一手ではありません。
ステーキング報酬を得続けながら、SolanaのリキッドステーキングトークンをDeFiの担保・流動性・借入ポジションとして使う様子
1つのリキッドステーキングトークンは、ステークしたままDeFiでも働けます。

ネイティブのステークにはこれができません。SOLをただ置いて複利で増やすだけなら、そのシンプルさは制約ではなく利点です。

税金について

2つのルートは課税上の扱いが異なる可能性があります。ネイティブの報酬はエポックごとに新しいSOLとして届くため、日本では一般に取得時点の時価で雑所得として扱われるとされています。一方、多くのLSTは新規トークンの付与ではなく交換レートの上昇で価値が増えるため、売却・交換まで損益認識が繰り延べられる可能性があります — 値上がり資産に近い扱いです。これは実際に意味のある違いですが、税務アドバイスではありません。解釈が分かれる領域であり、制度も変わり得るため、必ず税理士など専門家にご確認ください。

理解すべきリスク

  • スマートコントラクトリスク(リキッドのみ)。LSTはプールのコードに依存します。主要プールは広く使われ監査済みのSPLステークプールプログラムで動いており、保有者が損失を被った履歴はありません。リスクは下がりますが、ゼロにはなりません。知っておくとよいのは、償還がウェブサイトの機能ではなくそのプログラムの命令だということ — 画面が消えたプールでも、トランザクションを送れるものからなら償還できます。
  • 退出時のディスカウント(リキッドのみ)。LSTの償還価値は上がる一方ですが、市場価格はその下に沈むことがあります。上表が測っているのはまさにそれで、一斉に抜けようとする局面では差が広がります。プールでの償還は満額のままなので、このディスカウントが効いてくるのは「いま売らなければならない」ときだけです — パニック時か、トークンを担保に入れていて深いディスカウントが清算を引き起こすときです。
  • レバレッジリスク(リキッドのみ)。ルーピングやレンディングは層を重ねます。プロトコルがひとつ増えるたびに、壊れうる場所もひとつ増えます。最初のポジションはシンプルに。
  • バリデータの性能(両方)。ダウンタイムやスキップ率の高いバリデータは、分配できる報酬が減ります。だからこそ良いバリデータを選ぶことが、どちらの方式でも効いてきます。
  • スラッシング。Solanaは現在、通常のダウンタイムでステークをスラッシュしません。実務的なデメリットは元本の喪失ではなく、報酬の減少です。

どちらを選ぶべきか

ネイティブを選ぶ:SOLを中長期で保有し、最もシンプルなノンカストディアル構成を望み、コントラクト層も退出時のディスカウントもない自動複利に価値を置くなら。

リキッドを選ぶ:ステーク済みSOLをDeFiの担保や流動性として働かせ続けたい、あるいはエポックを待たず数秒で退出できる選択肢が欲しいなら。どのトークンにするかは用途次第ですが、上の退出コスト表は、ほとんどの比較記事が飛ばしている部分です。

両方やる、という選択肢もあります。よくある組み合わせは、長期のコアをネイティブで持ち、DeFi用に小さめのリキッドポジションを添える形です。どちらのルートでもStake.Cakeに委任できます — ネイティブで直接、またはJPool・The Vault・JagPool経由で。

自分に合う方法でステーキング

フルコントロールのネイティブ委任か、Stake.Cakeにルーティングされるリキッドステーキングプールか。SOLを流動的に保ちながら稼ぐこともできます。